原作: 20260703ラフ版MEMORIES.docx(電極パッチ・呪文統一・能動ビートA/B反映版)| 更新: 2026-07-03 | 全30カット(本編想定 15〜18分)| 構図・カメラ・音の設計案。実際のフレーミングは撮影時に稲垣の目で決めること。
S1 茜の自宅・夜 | 冒頭で「作品への執着」を画で見せる(約1分)
CUT 01 CU FIX 8s
暗い部屋。モニターの青い光だけが茜の横顔を照らす。外したHMDが手元に。画面には作りかけのバーチャル空間。
音: PCのファン音のみ。無音に近い | ため息
▶ 顔の半分は影。光源はモニターのみ=ワンライト。低予算で最もルックが作れる構図
Discord通話
CUT 02 MS FIX 25s
茜の背中越しにDiscord画面。智樹の音声波形が動く。「やっぱり降りるって。…これで完全に資金不足ね」
台詞: 茜「やっぱり、前に話したあれ、やるしかないかも」/智樹(声)「あれって…記憶を売るってやつだろ」
▶ 改善提案①: 説明台詞を最小化し、壁に貼られた設計図・受賞盾など「執着の物証」を舐めて見せる
S2 カウンセリングルーム・導入 | 無機質な白の世界(約3分)
CUT 03 LS FIX・水平 10s
完全シンメトリーの白い部屋。中央奥に相川、手前に茜と智樹の背中。天井から均一な光。
音: 空調のホワイトノイズ。足音が響く
▶ ロケ地候補: 白基調の貸し会議室/クリニック系スタジオ。P26と完全同構図で撮る(対句の仕込み)
CUT 04 ECU FIX 4s
こめかみに小さな電極パッチを貼る相川の指先。青いランプが灯る。
音: ピッ(起動音・この作品の「音のロゴ」になる)
▶ 脚本v2で電極パッチ方式に確定。SFは見せないほど高級に見える
CUT 05 MS FIX 15s
スクリーンに浮かぶバーチャルヒューマンのワイヤーフレーム。手前に二人の後頭部シルエット。
台詞: 相川(声)「これが記憶移植先です。より人間に近い存在に近づきます」
▶ CG不要案: モニターに表示するだけ。Blender無料アセットのワイヤーフレーム人体で成立
CUT 06 CU FIX 20s
相川の柔らかい微笑み。目は笑っているが、どこか職業的。「バランスの良い記憶を最初にプレビューさせていただきます」
台詞: 相川の説明(3つの記憶・売却の影響・選び直し可)を要約して30秒以内に圧縮
▶ 改善提案⑦: 中盤のQ&Aは長い。ルール説明はこのカットに集約し、以降は反復しない
CUT 07 ECU FIX 5s
茜の目。ゆっくりと閉じられる。まつ毛の影。
台詞: 茜(心の声)「memories back」/音: キーボード→Enterの「カタン」
▶ この作品の反復モチーフ。毎回同じサイズ・同じ音で撮る。P27(智樹の目)と対句
M1 記憶①初恋・夕暮れの河川敷 | ここから手持ち・逆光・不完全な世界(約2分)
CUT 08 LS ハンディ・追い 15s
夕陽に染まる河川敷。前を歩く青年の背中。世界全体がオレンジに滲む。フレアがレンズに入る。
音: 川の音・風・遠い野球の声。音から先に立ち上げる (智樹=サウンドデザイナーの世界観と呼応)
▶ マジックアワー30分勝負。ロケハンで太陽の沈む方角を必ず確認。YFLのルックの見せ場①
CUT 09 MS/POV ハンディ 12s
青年が振り向く——顔は完全に逆光とハレーションで見えない。輪郭だけが光る。
台詞: 青年「それは…俺と見てるからじゃない?」
▶ 「顔が見えない」=キャスティング不要・後の台詞「相手の顔も見えなかった」の画的成立。制約が設定になる
CUT 10 CU ハンディ 10s
18歳の茜の横顔。夕陽で髪が透ける。笑っている。フレームは微かに揺れ、時々1〜2フレーム欠落する。
台詞: 茜(18)「ただ夕日が赤いだけなのに、なんでこんなにも心を動かすんだろう」
▶ 記憶の劣化表現: 編集でフレーム間引き・色を一瞬破綻させる。人力編集の腕の見せ場①
CUT 11 ECU FIX 4s
【CUT07と同構図】茜の目が開く。ホワイトアウトから瞳へのマッチカット。
音: 空調のホワイトノイズに戻る(音で世界が切り替わる)
▶ 記憶=夕陽色 → 現実=白。カラコレで世界を分ける。「一瞬だった」というSF設定が編集のリズムで伝わる
S3 売却①と代替記憶 (約3分・ビートA含む)
CUT 12 2S FIX 30s
智樹(手前・ピン送り)「やめるの?」→ 茜「え?」。プレビューが一瞬で終わっていたことが智樹の顔で分かる。
台詞: 茜「この記憶は売っていいわ」智樹「…本当に?」茜「今は智樹がいるし」
▶ 茜の軽さ(「今は智樹がいるし、いいわ」)が、直後のCUT12b(ビートA)の引き金になる
CUT 12b 【v2新規・ビートA】 CU切り返し FIX 20s
智樹に切り返し。「……じゃあさ。もし次に出てくるのが、僕との記憶だったら?」——初めて彼が核心に触れる。手前ボケに茜。
台詞: 智樹「それも、迷わず売る?」/茜(笑って)「出てきても選ばないわよ。言ったでしょ」/智樹「……そうだね」
▶ この質問はラストで智樹自身に返る(ブーメラン構造)。「そうだね」は納得していない目で。以降、カメラは少しずつ智樹の物語に寄っていく
INSERT: Enter
CUT 13 CU+INS FIX 10s
「sell memories」→相川「buy memories」→Enterの音→茜の顔。一拍の空白。何かが抜け落ちた0.5秒の無表情、そして「もちろん、大丈夫よ」
音: カタン。以降、Enter音=喪失の音として観客に条件付けされる
▶ 売却のたびに「無表情の空白」を1フレームずつ長くする——人格変化を演技と編集で積む(改善提案④)
CUT 14 CU FIX・ゆっくり寄り 45s
相川の「兄の迷子」の偽記憶エピソード。初めて職業用の微笑みが崩れ、素の顔になる瞬間。
台詞: 相川「私自身の体験だと記憶してしまっていたんです」
▶ この脚本の隠れた宝。相川に人間味が宿る唯一の場面なので、じっくり寄りで。ラストの良心の呵責への伏線
M2 記憶②迷走期 | モンタージュ+追加提案カット(約1.5分)
VRゴーグル
CUT 15 モンタージュ ハンディ/INS 25s
顔の見えない面接官/履歴書と悔し涙/荒れた部屋にVRゴーグル。断片が高速で切り替わる。音はくぐもる。
音: 心無い言葉の断片がオーバーラップ(音響設計の見せ場)
▶ 全てINSERTで撮れる=1日で消化可能。顔を映さない=エキストラ不要
CUT 16 【v2本採用】 MS ゆっくりドリー 15s
【主観】VR内で初めて空間を「創る」若い茜の手元。指先から光の図形が浮かび、世界に色が灯る。そこに智樹の作った特徴的なサウンドが流れ始める。
音: 無音→オブジェクト生成音→智樹のサウンド (=二人の始まりの音。車内の別れへの遠い伏線)
▶ 脚本v2で本文入り。この記憶を売る=創作の原点と「二人の始まりの音」を同時に手放すこと。暗幕+LED+合成で低予算成立
S4 売却②と人格変化 (約2分)
CUT 17 CU FIX 15s
「智樹には関係ないでしょ」——初めて出る棘。言った茜自身が自分に驚く。背景に智樹(ボケ)。
台詞: 茜「あ、ごめん。…私らしくなかったね」
▶ 目の光を1段落とす照明変化(気づかれない程度)。売却②以降、茜の瞬きの回数を減らす演出指示も面白い
手が止まる
CUT 18 ECU FIX 6s
キーボードの上で相川の両手が一瞬止まる。良心の呵責を「手」だけで語る。
音: タイピングの中断。空調ノイズが際立つ
▶ ト書き「影響は大きくないと判断し進める」の映像化。顔を見せず手で語る方が余白が出る
M3 記憶③トラウマ | 完全主観・音声主体(約2分・ビートB含む)
CUT 19 POV ハンディ・至近 15s
完全主観。肩を掴む母の腕が画面の両端から伸びる。母の顔は涙で滲んでボケている。画面周辺が歪む。
台詞: 母「お母さんかお父さんか選んでね」「茜と里音は一緒に暮らせないの」
▶ 子役の顔出し不要・涙のボケ=レンズ前にワセリン/水滴で物理的に作れる。脚本の設計がすでに賢い
CUT 20 俯瞰LS FIX真上 8s
真上から。広い食卓に子供の茶碗が一つ。両親の席は空。一点のライトプールの外は闇。
台詞: 幼い茜(声)「お父さん、いつ帰ってくるの?」「莉音にはいつ会える?」
▶ 表記は「里音」に統一済み(v2)。音声だけで「妹」と伝わるか、仮ミックス段階で要確認
CUT 21 CU ハンディ微揺れ 20s
現実に戻る。汗、乱れた呼吸。ここだけ現実パートなのにカメラが揺れる(トラウマが現実を侵食)。
台詞: 茜「いりません。こんな記憶。」/相川、良心の呵責から「…もし迷われているのでしたら、売らない方が」/茜「いえ、売ります」
▶ 相川の警告と茜の即答まで。ここから直後のCUT21b(ビートB)へ雪崩れ込む
CUT 21b 【v2新規・ビートB】 MS→手のCU FIX→寄り 40s
智樹、立ち上がり茜のこめかみの電極へ手を伸ばす——茜がその手首を掴んで止める。止まった2人の手(黄丸)がこのカットの核。
台詞: 智樹「もういいよ、やめよう。資金なら別の方法を」/茜「迷わない。私は迷わないって決めてるの」/智樹「——その『決めてる』は、誰が決めたの。迷ってた頃の茜だろ」
▶ 茜が一瞬言葉に詰まる=旧い茜の最後の揺らぎを1拍だけ見せてから「相川さん。お願いします」。本作唯一の身体的衝突。静かに撮るほど効く
S5 車内・夜 | 上機嫌という名の喪失(約3分)
CUT 22 2S ダッシュボードFIX 60s
夜の車内。饒舌で上機嫌な茜(右)と、静かに違和感を溜める智樹(左・運転)。流れる街灯が二人の顔を周期的に照らす。
台詞: 茜「気持ちが軽くて、なんでもできそう!」→「今のプロジェクトももう終わればいいかな」
▶ 撮影は牽引 or 停車+流し照明(板にLEDを流す)で夜走行を偽装可能。上機嫌の演技が明るいほど怖くなる
CUT 23 CU FIX 30s
茜、明るく話しながら段々真剣な表情に。涙が流れているのに本人は「気持ちが軽い」と笑っている——感情と涙の乖離。
台詞: 茜「私の心がどこにもいないの。…このプロジェクトが終わったら、お別れしましょう」
▶ 本作最重要カット。「泣いているのに悲しくない」という演技課題を女優と事前に必ずすり合わせる
CUT 24 LS 車外FIX 10s
車の外から、窓越しに抱きしめる二人のシルエット。ガラスの反射に街の灯。無音に近い。
音: 環境音のみ。音楽はまだ我慢(ラストまで取っておく)
▶ ブラックアウトへ。感情のピークで引く勇気——あなたの好きな「静かな諦観」(オールド・ジョイ)の文法
S6 カウンセリングルーム・再び | 対句のラスト(約1.5分)
CUT 25 LS FIX 10s
【CUT03と完全同構図】同じ部屋、同じ光。ただし椅子に座るのは智樹一人。茜の席は空(点線=不在)。
音: 同じ空調ノイズ。既視感が痛みに変わる
▶ 同ポジ撮影を初日に仕込んでおく(三脚位置をマーキング)。編集で並べた瞬間に観客が構造を悟る
CUT 26 CU FIX・ゆっくり寄り 30s
智樹「僕が彼女を忘れても。彼女の記憶を元に戻していただけるのなら…きっと…」。相川、無言。手が一度止まり(CUT18の反復)、それでも打鍵を始める。
台詞: 相川「お約束します。それでは…」
▶ 智樹の台詞は言い切らせない。「きっと…」の先は観客に書かせる
CUT 27 ECU FIX 5s
【CUT07と同構図・対句】今度は智樹の目が閉じられる。「Sell memories」
音: カタン(3度目のEnter音。もはや観客はこの音の意味を知っている)
▶ 冒頭から仕込んだ反復がここで完成する。音のライトモチーフ=サウンドデザイナー智樹の物語としての結晶
memories back
CUT 28 TITLE 8s
ブラックアウト。静寂ののち、タイトルコール——仮題『メモリーズ・バック』。小文字コマンド表記+カーソル点滅。劇中の呪文がタイトルとして再登場し、「再生」から「取り戻す」へ意味が反転して完成する。
音: ここで初めて音楽を全面に。あるいは——河川敷の「川の音」だけで終わる選択肢も
▶ 検討: タイトル後に1カット、「初対面として出会い直す二人」の後日談を足すか。余韻派なら不要、希望着地派なら有効。稲垣の判断ポイント